君と春を



身仕度を済ませ、マンションのエントランスを出ると車で迎えにきた慎汰さんが待っていた。


今日は家族の命日だ。


『俺も一緒にいくよ』

そう言ってくれたのは数日前。

私よりずっと有休が取りにくい彼は夜遅くまで連日残業して今日を空けてくれたのだった。

彼は私の家族のことも大切に思ってくれている。

仏壇に手を合わせてくれたり、知らない間にお線香やロウソクを用意してくれていたり……。

だから『一緒に』というこの流れはとても自然だった。

自然であることが、涙が出るほど嬉しかった。




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