君と春を



どうやってその場を後にしたか憶えていない。

気づくと茉莉のベッドで一緒に寝ていた。

茉莉の頬には涙の跡がある。心優しい茉莉は、私の不幸を思って泣いてくれたのだろう。

…茉莉がいなかったら私はどうしていただろう。

底なしの冷たい真っ暗闇の中に突き落とされた私にとって茉莉の優しさは、ひと筋灯されたキャンドルのように仄かに、でも確実に心を温めてくれた。



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