ヒカリ

「恵玲奈ちゃんは夢をなにかすごいおっきなもんやと思ってるんちゃう?宿命とか才能とか天職とかそんなやつ。」

私は顔を上げる。
千香さんのいってる意味がわからない。

「夢って、何かになることだけじゃないねんよ。和菓子を毎日食べたいとか、そんなんも立派な夢。プロ野球選手になりたい、とか思うのんと同じ立派な夢。」

何かになることだけじゃない。

何かにならなくても…いいの?


「恵玲奈ちゃん、絵描きっているやろ。あの人たちは、絵を描くから絵描き。その絵が売れる、売れへんは関係なく絵描き。絵描きになりたい、って夢は絵を描き続ける限り、叶ってるんよ。」

千香さんは、私の目をじっと見た。

「私の言いたいこと、分かる?」

私は千香さんの目をじっと見つめたまま、こくり、と頷く。
きれいな茶色い瞳の中に、私がうつる。


私は何にもなれないかもしれない。
だけど、それでもいいのかもしれない。


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