ヒカリ

snowscape

バレンタインデーの翌日、私と泉水は始発電車に揺られていた。

まだ夜みたいに暗い駅の改札で、私たちは待ち合わせをして、会うなり私はポケットに入れていた小さな箱をぽん、と泉水に投げた。

手のひらに入るほどの紺色の箱にはシルバーのリボンがかかっている。

「それ、チョコレート」

泉水がふわっと目尻を下げた。

「まじかよ。」

「チョコ好きなの?」

「うん、まぁ。てか、これバレンタインのチョコだろ?」

「過ぎたけどね。それに、義理チョコだし。」

私の言葉を聞いた泉水は鼻の頭にしわを寄せた。

「一言多いなぁ、恵玲奈は。」

「行こう。」

無視して私は券売機に向かう。

泉水が嬉しそうに笑ったりするから。
他にもたくさんもらったくせに。
嬉しそうに笑ったりするから。
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