ヒカリ
「なぁ、恵玲奈。」

泉水は少し真面目な顔になって、私の顔を真正面から見た。

「俺はさ、ビールはアサヒしか飲まない。タバコも決まったやつしか吸わない。一度好きになったら、俺はずっとそれが好きなんだよ。人も同じ。誰かを本気で好きになったら、例え振られてもきっと好きでいる。」

「永遠に、ってこと?」

「うん。恵玲奈、好きなものを嫌いになるより、嫌いなものを好きになる方が簡単だし、第一そっちの方がいいと思わない?」

「嫌いなものを好きに?」

「食わず嫌いとか、そうだろ?子どもの頃、食えなかったものが食えるようになるとか。」

そう…そうかもしれない。

嫌いなものを好きになる。
好きなものは好きなまま。


「あ、雪だ。」

泉水の声に、窓の外を見た。
雪がちらちらと降り始めていた。

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