ヒカリ
「もう一度、聞くよ。」

正人さんは、低い穏やかな声でゆっくりと言った。


「なにか、あった?恵玲奈。」


正人さんの瞳は、初めて会った日と同じ色をしていた。
そうだ、この人はこういう目をしていた。



「…好きな、人が、できたの。」


言い終わると同時に、私は泣いた。

正人さんの前で泣くのはもちろん初めてだった。


「それは…僕ではないんだね?」


正人さんは、少し困ったように笑った。

それから、私をそっと抱き締めた。

「さようならしよう。恵玲奈。」



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