ヒカリ
息苦しくなって、脳は酸素を求めて息を吸おうとするのに、うまく呼吸が出来なくて、このまま死ぬかと思った。

朦朧とした意識の中で、今ここで死んだら、『倉橋恵玲奈さん(19)無職』って新聞に載っちゃうなぁ、なんてチラッと思ったりした。

「えぇと、倉橋…恵玲奈さん?」

運ばれた救命医療センターで正人さんと出会った。
正人さんはカルテを見ながら名前を確認すると、私の横に寄り添い、ずっと背中をさすってくれた。

治療らしい治療はなにもしなかった。
ただ、隣にいて背中をさするだけ。

過呼吸の時って、袋を口に当てて治療すると思ってました。

私がそう言うと、正人さんは穏やかに笑って、
「ぺーバーバッグは低酸素の危険があるから、あまりしないんですよ。」
と教えてくれた。

過呼吸は、ストレスなどの精神的なものが原因だから、ただ寄り添い言葉をかけることが必要だと、後で知った。



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