彼岸の杜
とりあえず覚えてるけど大丈夫かな、と思いながら着物を着てみるが小さいときの記憶というのも馬鹿にできないらしく、案外さらさらと着こなせたので安心した。
えっと、あの最初にいた部屋でいいんだよね。確かこっちだったはず、と洋服を持って廊下を進む。
人は茜とおそらく清二さんしかいないからそんな構えなくてもいいんだろうけど恐る恐る「失礼しまーす」と控えめな声で襖を開けた。
「あぁ、お帰り。さっぱりしたかい?」
「あ、はい!もちろんです!ありがとうございました」
恐らくあたしのために出してくれたのだろう布団を部屋の隅に畳んでいた清二さんはあたしに気づいて「よかった」と柔らかく笑ってくれた。
やっぱり清二さんってイケメンだなぁ。こう、なんて言うの?現代にいるイケてるメンズっていう感じの着飾ってる感じじゃなくて、自然な感じのイケメン。
うーん、例えが思いつかん。あれか?調理したあとのフレンチ料理じゃなくて素材のままの美味しさ、みたいな?いや、ニュアンスはこんな感じだけどこれ失礼極まりない例えだな。