いつだって、ヒーロー。


「だからね…私…自分の気持ちに気付いちゃったのに…!宮城くんに…隠し事して…嘘ついて…そんなので、好きだなんて…」


やっぱり…罪悪感は言い訳じゃなかったのかも。

隠し事も嘘も、もう取り返しがつかないんだ…。


そんなので…宮城くんに好きなんて伝えられるわけない…。

こんな私の好きなんて…宮城くんには迷惑だよね…。


「泉…泉の知ってる宮城は…どんな人?そんなことで、宮城は泉に冷たい目を向ける人…?」


「………違う。違うよおっ…!」


私の知ってる宮城くんは…そんな人じゃない。



『何色?』



『1時。1時に藤棚で待ってるから』



『俺お金よりありがとうってのが欲しいんだけど』



『ざっけんな!!!やめろ!!!!!』



『大丈夫?』



『こーんなと、してもいいと思ってるわけ?』



思い返せば、別れてからも宮城くんは優しかった。
たくさん救われたね。


もしも、本当に私が忘れていても好きになるきっかけはたくさんあった。


遅かったんだ。

だけど辿りついたよ。


「宮城くんは…いつも、優しくて…ヒーローみたいな存在なんだ…」


「泉らしいね、ヒーローなんて」


初めて話したときから宮城くんはヒーローだったんだ。


ヒーローは終わりなんて、私には無理だったのかもしれない。


素直になりたいよ…。


もうごまかしたりできないんだ、この気持ちに。


もう一度彼女になりたいなんて、ワガママ言わないよ?




ただ、もう一度ヒーローに恋をしてもいいですか?




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