いつだって、ヒーロー。

そんなたくさんの想い、唇から伝わってほしい。



『私の』ヒーローは、今日までだね。



これからは、



『みんなの』ヒーロー。



終わっても、私のものではなくなってしまっても、



青くんは私にとってヒーロー。



「青くん…別れよう」


幸せだったよ。
そう胸を張って言えるよ?

だけど私は青くんを傷つけちゃう。
だからそばにいちゃダメなの。

なんで?って明らかに動揺しながら言う。


「…好きじゃなくなったから」


ううん、嘘。
好きだよ、大好きだよ。
今すぐぎゅってしたいくらい、大好き。
嘘に嘘を重ねて、それでもそう思っちゃう私は、


最低だ。


泣いちゃいけないのに。
泣ける立場じゃないのに。
泣きたいのはきっと青くんの方。

なのに…なんで涙がこんなにっ……。
溢れて溢れて止まらない涙は青くんの姿をぼやっとさせる。

私はどこまでもひどい人間だ。


「バイバイ、青くん…」


"青くん"
そう呼ぶのもこれで最後なんだ…。
大好きな名前。大好きな人。

大好きだった名前。大好きだった人。

大好きだったよ。
青くんでよかったよ。

好きになってくれてありがとう。

幸せだったよ。

バイバイ、青くん…。



< 51 / 346 >

この作品をシェア

pagetop