強引社長の甘い罠
手早くシャワーを浴びてさっぱりした私が祥吾の寝室に戻ると、既にシーツは新しいものに取り替えられていた。祥吾はいない。
ベッドに腰を下ろして、彼のブカブカのスウェットパンツの裾を何度も折り曲げていると、聞きなれたスマホの着信音が聞こえてきた。これは、私のスマホだ。
辺りを見回して音がする場所を探す。すぐにそれは見つかった。
壁に設置されたテレビの真正面、少し窓の方に向けられて配置されているソファの上に私のバッグがある。音はそこから聞こえていた。
彼、私のアパートを出るときに私のバッグなんて持ってた? 全然気づかなかった。
立ち上がってソファの上のバッグを取るとスマホを取り出した。良平だ。通話ボタンを押した。
「はい」
『唯?』
通話口の向こうから明るく弾んだ声が聞こえてきた。
「良平、どうしたの?」
『いや、これから仕事で唯の会社の近くへ行くんだ。終わったら夕食でも一緒にどうかなと思って電話したんだけど……』
良平の声が尻すぼみになる。心配そうな声になった。
『どうしたの、風邪でも引いた? 声が変だぞ?』
「あー……うん。昨日からちょっとね。でも大丈夫。病院も行ったし、もう熱もだいぶ下がって楽になったから」
『そっか。それならいいけど』
良平がホッと息をつくのが聞こえた。
『じゃあ食事はまた今度だな』
「うん。ごめんね」
『謝ることじゃないだろ。それより唯、一人で平気か? 何だったら俺、そっちに行ってやろうか? これでも俺は心配してるんだぞ。この前の食事の後も様子がおかしかったし……』
ベッドに腰を下ろして、彼のブカブカのスウェットパンツの裾を何度も折り曲げていると、聞きなれたスマホの着信音が聞こえてきた。これは、私のスマホだ。
辺りを見回して音がする場所を探す。すぐにそれは見つかった。
壁に設置されたテレビの真正面、少し窓の方に向けられて配置されているソファの上に私のバッグがある。音はそこから聞こえていた。
彼、私のアパートを出るときに私のバッグなんて持ってた? 全然気づかなかった。
立ち上がってソファの上のバッグを取るとスマホを取り出した。良平だ。通話ボタンを押した。
「はい」
『唯?』
通話口の向こうから明るく弾んだ声が聞こえてきた。
「良平、どうしたの?」
『いや、これから仕事で唯の会社の近くへ行くんだ。終わったら夕食でも一緒にどうかなと思って電話したんだけど……』
良平の声が尻すぼみになる。心配そうな声になった。
『どうしたの、風邪でも引いた? 声が変だぞ?』
「あー……うん。昨日からちょっとね。でも大丈夫。病院も行ったし、もう熱もだいぶ下がって楽になったから」
『そっか。それならいいけど』
良平がホッと息をつくのが聞こえた。
『じゃあ食事はまた今度だな』
「うん。ごめんね」
『謝ることじゃないだろ。それより唯、一人で平気か? 何だったら俺、そっちに行ってやろうか? これでも俺は心配してるんだぞ。この前の食事の後も様子がおかしかったし……』