強引社長の甘い罠
　私も胸のつかえが取れたような、スッキリした気分だ。何もかもが明らかになった今、曇りのない目で祥吾と向き合えそうだ。そして、聡とも。
　私はもう一度にっこり微笑んだ。すると、聡が首を傾げた。

「あれ？　鳴ってない？」

「え？　何が？」

「携帯。鳴ってるの、唯じゃない？」

　言われて見てみると、私のバッグが振動している。マナーモードにはしていないけれど、音量を小さくしてあるから気づかなかった。

「あ、本当だ」

　慌ててバッグからスマホを取り出して確認すると、それは祥吾からだった。

「あ……」

　チラリと聡を見た。聡が片眉を上げる。

「どうしたの？ 出ないの？」

「あ、ううん。ごめん、ちょっと出てくるね」

「うん」

切れてしまうかもしれない。足早に入り口へと向かった。
　ファミレスを出てすぐの明るいところで、大勢の人が急ぎ足で通り過ぎて行くのを眺めながら電話にでた。
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