剣華
 見かけどおりの甲高い気合いを発し、若者が上段に振りかぶった刀を振り下ろすように突き出してくる。
 僅かに身体を捻って相手の刀を避けると、そのまま俺は抜きつけの一閃を若者の腹に見舞った。

 若者はそのまま二、三歩進み、川の手前で己の腹に視線を落とした。
 絶叫が迸る。
 溢れる臓物を押さえるように抱え、膝をついた。

 俺の動きは止まらない。
 居合は抜いたら納刀まで止まらないものだ。

 若者を斬った刀をそのまま返し、飛び込んできていた男の刀を弾いた。
 初めに髭面と一緒にいた、提灯を持っていた奴だ。

 刀を弾かれ、男が体勢を崩した。
 重心が後ろにかかり、踵に体重が乗った瞬間を捉え、俺は大きく踏み込んだ。

 一瞬で引き戻した刀を振りかぶり、真っ向から斬り落とす。
 脳天から額にかけて、俺の刀が食い込んだ。

 噴き出す血と脳漿を浴びながら、俺は男を蹴り倒した。
 骨に刀が食い込んだら厄介だ。
 さっさと離れて欲しい。
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