色恋 〜Colorful Loves〜
「いけません」



心根の優しい誠一郎さまを危険な目に遭わせることなど、できない。


私は頑として首を横に振りつづけた。



でも、誠一郎さまは、私の身体をきつく抱きしめた。




「あなたには、こんなところは似合いません。

俺は、外の世界で、自分の足で好きなところへ行き、きれいなものを見て、食べたいものを食べて、作り笑いではない笑顔を浮かべるあなたを見たい」




それだけ言うと、誠一郎さまは、私の打掛を剥ぎ取り、ふわりと抱き上げた。



そして、驚きのあまり何も言えずにいた私を抱えたまま、障子窓をがらりと開ける。



「飛び降りますよ。しっかりつかまっていてください」


「え……っ」



気がついたら私は、宙を舞っていた。




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