オオカミくんと秘密のキス

私が1番~妃華side~

妃華side


顔がかわいいって女にとっては本当に罪なこと。

私みたいな女は特にね♪



なのに今…

薄暗い部屋で1人ベッドの上で寝転がっている…


リビングでは幼馴染みの誕生日パーティーが行われていて、なんとも楽しそうな声がする。


この私が…

なんでこんな所にいるのよ…









「俺ら付き合わね?」


新学期になってからもう何度告られてるだろう…正直うざい。

しかも、こんな上から目線の勘違い男に好かれるなんて最低。




「ごめーん。本命いるからぁ」

「ちぇ…そういうオチかよ」


バカみたい。私とあんたみたいなのが付き合えるわけないじゃん。

私と付き合えるのは凌哉だけだよ。





私は吉川 妃華(よしかわ ひめか)

私は子供の時からずっと…未来が見えていた…


うちの家系はみんな医療系で両親は共に医者。それぞれの分野で成功していて、裕福な生活をしている。

そんな家庭に生まれた私は、昔からお嬢様のように育てられた。それに加えて顔も可愛いし頭もいいなんて…恵まれ過ぎでしょ?

あとひとつだけ揃えば私は完璧だった。





そう、恋人。








「あ、あのぉ…ずっと好きでした!」


ある日。幼馴染みの凌哉の家に遊びに行くと、家の門の前で凌哉が女子から告白されている所に遭遇。

私は少し手前でタクシーを降りて、門の近くの電柱に隠れて2人の様子を伺った。







「悪いんだけど…」


困ったように頭をかく凌哉。



優しいな凌哉は…

本当はめんどくさいとか思ってるだろうに…






「尾神くんて…今彼女とかいないよね?もしかして好きな人とかいるの?」


お。

今回の子は結構突っ込んで来るね。そう簡単には引き下がらないってか!





「別にいないけど」

「ならどうして誰とも付き合わないの?彼女欲しいとか思わないの?」


はーん…

ここまで攻めてくるって子は珍しい。


パッと見顔は結構かわいいし、こんな私を振る理由は何!?的なふうにも遠まわしに聞こえるけど。

多分相当自信あったんだろうな…


ぷ。いい気味~







「好きでもない奴となんか付き合いたくねえ。俺潔癖なんだよ」



出たー!

凌哉が女の子を振る時のお決まりのセリフ!

このフレーズ生で聞けるなんてラッキー♪







「…わかった」



立ち去っていく女子。私はタイミングを見計らって凌哉の元へ走って行った。







「凌ーーー哉っ!」

「痛」


後ろから思い切り抱きつくと、凌哉はよろけながらこっちを向く。





「見てたのか?」

「もちぃー!あーあ振っちゃってあの子かわいそぉー」


本当は振られたザマを見て超面白がってるんだけどね~







「仕方ねえだろ。無理なもんは無理だ」

「そうだよねぇ、凌哉は潔癖だもんね!ということは…凌哉の中で女の子の1位は私ぃ???」
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