オオカミくんと秘密のキス
異性としての1番じゃなくてもいい。とりあえず女の中で1番ならいいの…






「まあな。恋愛感情抜きならお前は女の中で1位だ」

「なにそれ~」


ぶぅと怒ってみせる私。

だけどこんなのは計算内。今の凌哉の中で私を女として見てなくてもいいの…


いつか…凌哉は私を選ばざる負えなくなる。

だって凌哉のことわかってるの私だけだし…子供のときからずっと一緒だったんだから…

凌哉をわかってるのは私しかいない。




いずれ凌哉もわかるから。

これからも誰を好きになることが出来なくて、ふと気がついたら残ってるのは私だけ…


いつもそばにいた私を凌哉はきっと選んでくれる。


その日をただ待つだけだよ。







なのに…










「…はじめまして…沙世です…」



地元の公園で凌哉と一緒にいたこの女…

私の目の前に突如現れた。





なんで…


凌哉が女の子とデート?

意味わかんない。



なんでよ…

どうしてよ凌哉…








正直かなり焦った。こんなの計算外だっから…


私は今後の作戦を考えるためにも、2人と会う約束をこじつけた。凌哉とあの女がどこまでの関係かを確認する為でもあるし、そもそもあの沙世とかいう女のことを調べるためでもあった。


期末テストが近いということもあり、テスト勉強を兼ねて2人を誘った私。

凌哉の地元に行くのはめんどくさい距離だけど、私の地元だとあの女が来てくれない可能性もある為こっちから出向いた。






「沙世。わかんないとこあったら言えよ」

「うん」


凌哉は沙世ちゃんにすごく優しくて、勉強が始まるとまめに彼女のことを気にかけていた。


こんな凌哉は初めて見る…

女の子と話してる凌哉自体すごく珍しいことなのに、この子にだけなんでこんなに優しいの?



沙世ちゃんをよく見てみると、可愛い顔はしているけどモテるタイプではないと思う。

背はまあまあ高くてスタイルもいいけど、特に目立つ感じはしないし…レベル的にいえば私の方が断然上じゃん?



なのに凌哉はまるで彼女のように沙世ちゃんを見てるし、話しかけている感じから見てかなりの好印象を持ってる…

だけど付き合ってるわけではないみたい…




ん?

ってことは凌哉は沙世ちゃんのこと好きってこと!!!?


だって付き合ってないけどデートしてたってことは、どっちかが誘って行くことになったわけだし…

普通に考えたら沙世ちゃんから誘ったと思うけど、凌哉は好きでもない子とデートなんて絶対行かない。



ということは…

やっぱり…凌哉は沙世ちゃんのこと…?






私は拳をぎゅっと握った。


完全に予定が狂った…こんなの予想してなかったよ…





絶対認めない。

つい最近凌哉を知ったくらいの女に、何がわかるっているの?あんたに何がやれるっているの…?





邪魔してやる。


2人の仲なんかぶち壊してやる…







その日から私は2人の関係を壊すのに必死になっていた。できるだけ凌哉に会うよう心がけたり、電話もちょくちょくかけたりした。

だけど一向に変化がなく、相変わらず凌哉の中にはいつも沙世ちゃんがいた。




こうなったらデートにでも誘うか…

で、すきを見てキスとかしちゃえばもっと近づけるかも♪




スマホに手を伸ばして凌哉に電話をかけると…








「もう連絡するの控えて欲しいんだ」






は?








「今、沙世と付き合ってる」







…。








何言ってんの?
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