オオカミくんと秘密のキス
「や、やめてよ!」

「あれ?もしかして首弱いのか?そういう大事な事はちゃんと言えよ?」

「くすぐったいだけだよっ」


首筋にキスされたのなんて生まれて初めてだし…






「…」


そのままソファーに深く座ると、凌哉くんは私の足の間に挟み込む。私は小さくなりながら凌哉くんの足の間に座る…


普段は弟達がいることが多いし、あんまり2人きりになれることがないから…こんなふうにくっついたり出来ることって新鮮かも…

でもなんか会話が自然になくなっちゃったな…







「宿題進んでる?」


凌哉くんて宿題とかちゃんとやってるのかな?




「やってねえよ」

「えっ!そろそろやらないと間に合わなくない?英語のプリントとかすごい多いし」

「直前にお前に手伝ってもらうからいい」

「なにそれ…」


私の宿題を見て丸写しして楽するつもりだな…

ズルイけど、ちょっと嬉しいから悔しい。







「今日響子さんはお休みなの?」

「いや、昨日から泊りがけで仕事」


え…という事は…







「今隆也くんのこと見ててくれてるのって…もしかして妃華ちゃん?」

「…まあな」


やっぱり。

凌哉くんが弟を1人で家に置いて遊びに行くとは思えないし…

妃華ちゃんに預けて来たということは…






「妃華ちゃんと仲直りしたんだ?」

「…ううん」


あれ?




「まだしてないの?」

「…するわけねえだろ。お前にあんなことしておいて」


凌哉くんは冷たくそう言って、またペットボトルのジュースを飲む。





「…もう許してあげたら?私は本当に気にしてないし」


時間が経てば笑い話になると思うし。





「…無理だな」

「幼馴染みだし仕方ないなぁみたいに思えないの?」

「…幼馴染みだからこそ許せないっていうのもあるんだよ」


なるほど。

幼馴染み=兄妹みたいなものだからってことか?





「でもさ…この際だから言うけど…」

「何?」

「あー…えっと…」


やっぱりこれは言っちゃダメだよね。

つい勢いで言いところだった…





「んだよ。途中まで言ったら言えよな」

「イへへへへ(イテテテテ)」


後ろから凌哉くんに頬をびろーんとひっぱられる私。





「痛いよ!」

「言えつーの」

「う…だから…」


ここで誤魔化したらまたつねられるかも…





「ひ、妃華ちゃんは凌哉くんの事好きだから…だから私に意地悪しちゃったんだよ」

「っ…!」


言ってしまった…

私の口からこんなこと言ったら、やっぱりまずかったかな。






「…なんで知ってんだ?」

「え?」


意外な返事が返ってきた…





「知ってるって…凌哉くんも妃華ちゃんの気持ちに気づいてたの?」

「いや…」


私から目をそらして、何か隠している様子の凌哉くん。私は目付きを変えて凌哉くんの顔に近づく。





「私には言わせて自分は言わないつもり…?」


ジロりと見つめると、凌哉くんはため息を吐いたあとためらうように口を開いた。







「さっき…告られた」

「ええっ!」


予想外の答えだった為、かなり驚いた私は思わず変な声を出してしまう。






「もちろん断ったからな!変な誤解すんかよ?」

「そ、それはわかってるけど…」


どういうシチュエーションでそうなったか、すごく気になる…
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