オオカミくんと秘密のキス
こんな自分本当に恥ずかしいっ……




「凌哉ー」

「…今行く」


柳田くん呼ばれると凌哉くんは私から離れていく。


なんなの本当に…

頭を叩くだけ叩いて何も言わないとか、やめて欲しいんですけど。





「ラブラブだねえ~」

「羨ましいですっ」


気がつくと、私は春子達からニヤニヤとした顔で見られていた。多美子ちゃんと寧々ちゃんはキャッキャと言ってはしゃいでいる。





「ち、違うよ!別にラブラブとかそういうんじゃなくて…」

「遠足の時からなんかラブってたもんね♪」

「私もそう思ってました~」


だから違うんだってば!今のはからかわれただけで…





「もう告白はされてるんだよね~あとは沙世の返事待ち~みたいな♪」

「ちょっ…春子!」


ニヤニヤとして言う春子に、多美子ちゃんと寧々ちゃんはヒューヒューとまた騒ぎ始める。こういうのが苦手の私は顔を赤くして俯くしかない。





「うるさっ…」

「イケてない4人組」

「ぷ♪」


すると横を通り過ぎて行ったクラスの女子達が、騒ぐ私達を見てボソッとそう言った。その女子はよく見るとさっき凌哉くんとグループになった子達で、2人でクスクス笑いながら教卓に実験の道具を取りに行った。

多美子ちゃんと寧々ちゃんはしょんぼりしたように俯き、春子に至っては怖い顔をしてその女子を睨んでいた。






「久しぶりにキレようかな」


うっ…


春子の目も口調も決して冗談で言っている様子ではなく、私は久しぶりにキレる寸前の春子を見て慌てて止める。





「は、春子抑えて抑えてっ!ね??」


春子は本気で怒ると手がつけられなくなるからなるべく避けたい…




「わかってるよ…私の事だけだったらいいんだけど皆の事を言われるのはムカつく…せっかく新しい友情が始まろうとしてたのに本当に気分悪いわ!」


春子のその言葉で私達4人の空気はパッと明るくなり、俯いていた多美子ちゃんと寧々ちゃんは顔をあげて笑った。



本当にそうだね。

私もこれからこの4人が仲良くなれそうな気がしてたところだよ…




「さーてっ。うちらも実験やりますか!」

「そうだね」

「おう!」

「やりましょう!!」


気を取直して実験を始める事にした私達は、教卓に行きそれぞれ並べられた道具を取って自分達の席に戻るとちょうどチャイムが鳴り授業が始まった。





「黒板に書いてある通りに実験を行うように。アルコールランプは注意して扱えよ~」


先生の言葉と共に生徒達は実験を始める。





「私フラスコに水入れてくるね」

「ありがとう」


春子がフラスコを持って水道へ行き、多美子ちゃんと寧々ちゃんはフラスコを置くスタンドの調整をしてくれている。

私は手元にあったマッチを持ってスタンバイしていると、フラスコに水入れた春子が戻ってきた。




「春子ちゃんありがとう!三角フラスコここに置いて大丈夫ですよ」

「はいよー」
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