俺22歳、アイツ3歳2ヶ月
缶コーヒーを一口飲んで足元を忙しそうに歩く蟻を見つめていた。

「親子だからとか、血が繋がってるからとか・・・そういう実感はないんだけど・・・

優のお陰で、いろいろ気付かされた・・・。

蟻なんて子供のころ以来見る機会なんて無かったし気づきもしなかった。

優は蟻にも驚いたり、面白がったり・・・

ほんの些細な事でも楽しめる・・・

もっともっと・・・って満足を知らない世界で生きてた俺に・・・

なんでも楽しめる事を教えてくれた・・・

いつでも幸せになれることに・・・」


「淋しくなっちゃうね・・・」

彼女が優の姿を眺めながら淋しそうな目をして言った。


冷たい風が俺の心の中を吹き抜けていった。

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