.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'
るんるん気分な藍香とは真逆に途方にくれるしかなかった・・・。
ー****
「はぁ、もう最悪・・・」
小さく呟きながら、あたしは体育館裏を目指す。
あたしもともと頭良くないし、クラスの子に聞くって言ったって、あんまり仲良くないから話しかけにくいし。
「どうしよ・・・」
そう呟いた時、頭にポンと置かれる大きな手。
それと同時にゆっくりと上を向く。
「とば・・じゃなくて、恭弥」
「ふーん、名前で呼べるようになったんだ。感心感心」
ニコッと笑い、コンクリートに座る。
「褒めてもらっても嬉しくないし・・」
「テンション低いな、そんなに赤点気にしてんのか?」
「うん、そうなの・・・ええっ!?」
あまりの驚きに思わず、お弁当を落とすかと思った。
てゆうか、なんで・・。
「あたしが赤点とったこと知ってるの?」
「ん?優実が山下と話してる時、俺も職員室にいたから」
動揺してるあたしとは真逆に優雅にパンを食べ始める。