蒼色ルーム



「ほら、行くぞ」

「は?ちょ…」



紺は私の手を掴むと歩き始めた。いつものスピードではなく、少し早めに。



「…………」

「…………」



歩き始めて5分。2人とも無言のまま歩く。なのに、手は離さない。
手汗かいてるから離したいんだけどね。



「葵、気にしなくていいから」

「…へ?」

「だから、桃里さんが言ったこと」



あぁ…朝のことか。
まさか、そんなことで学校まで来てくれたの?なんか…紺って本当に変わった…最初に比べたら。



「葵は、桃里さんの事好きなんだし」

「う…ん。ありがと、紺」



気持ちがなかなか伝わらないのを知っているから励まされたら泣きそうになる。



「俺は、応援してるから」

紺は、私の手をギュっと繋ぐとそのまま離した。



「ありがとう」

「おぅ。ほら、帰るぞ」



紺は私の数歩先を歩く。つい最近まではキョリが遠いと感じてたのに。なんか、不思議。

…私、紺にならなんでも話せる。
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