片道キップを二人分
あたしよりもずっと我慢強かった斗真は、此処まできても尚、いろんな葛藤があるみたいで。
それなのに、密着する下半身に感じるのは、余裕のない斗真の熱。
「元に…戻るだけだよ」
「え?」
「元の、ひとつに戻るだけ……あたしは…誰に何を言われても……斗真がいれば怖くないから…」
「真菜…」
斗真の唇があたしの唇を塞いで、それまで躊躇っていたのが嘘みたいに、斗真の手があたしの身体を這い回った。
斗真のくれる全てが愛おしくて、あたしは全身でそれに答えた。
長い時を経て、18年ぶりにひとつになったあたしたちは、その瞬間、まるで神聖な儀式のように口づけを交わした。
あたしと斗真は、はじめからひとつだったと。
あたしの細胞が歓喜に震えるのが分かって、やっぱりいつまでも涙が止まらなかった。