片道キップを二人分
「……俺たち、兄妹なんだぞ?」
言われなくたって分かりすぎるほどの現実。
だって、斗真はお兄ちゃんで、あたしの大切な半身。
いつからなんて分からない。
気がつけば斗真が好きで、斗真が笑ってくれれば嬉しくて、斗真が悲しいとあたしも涙が出た。
気持ち悪いことだなんて思ったことはない。
斗真が傍にいることも、斗真を好きなことも、あたしにとっては呼吸をするのに等しく当たり前でしかなかったから。
斗真も同じだと思ってた。
言葉なんかなくても、あたしたちに流れる血は、驚くほどに相手のことが分かるのだ。
だから、言葉になんかされなくてもよかった。
モテるのに恋人を作らないだけで、雷に怯える夜に、一つのベッドで眠ってくれるだけで。
「だって斗真も、同じだってあたし…」
「お前のこと、誰よりも大事だよ?でもそれは…………俺たちが、双子だからだ…」
唇を噛み締めて堪えていた涙は、あたしの絶望と一緒に弾けて、消えた。