私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
すっかり校長の謎の依頼に意識を奪われている先輩方。
あの万里先輩でさえ、何かが引っ掛かっているようだった。
これは……言うべき?
「あの、先輩」
「ん?何、瑠衣?」
双葉先輩と二人で、薔薇園を取り巻く陰謀説を語っていた紗椰子先輩は、私なんかそっちのけではしゃいでいる。
「私、今日、同じようなことを生徒に言われたんですけど」
「え?!何で?」
「あんまり気にも留めてなかったんですが…、『薔薇園を取り壊さないで』と懇願されました」
今思えば、どうして彼女はこのことを知っていたんだろう。
薔薇園なんか存在すら未確認で、生徒会しかこの案は知らないのに。
「その子、名前は?」
万里先輩が言った。
「あ……、聞くの忘れました」
「肝心なとこ頼りないなぁ、瑠衣は」
双葉先輩が笑いながら私の頭を撫でた。