私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~

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ショパンの別れの曲が、私たちを見送り、卒業生は退場した。



退場した途端にはぁ、と安堵のため息を吐いた瑠衣とは逆に、ほとんどの生徒は肩を震わせてわんわん泣いている。

言葉にならない気持ちが、涙になって溢れ出る。



みんなそれぞれ、この学園に思うところがあったのだろう、なかなかその場を動こうとはしない。



涙を流すどころか、友人たちと別れの抱擁さえしない私は、このしんみりした場にかなり浮いていた。


実際、早く暖かい場所に行きたいと空気の読めない考えもしていたし、第一、卒業すること自体あまり悲しいことじゃ無いからだ。







私は未だ仲間と別れを惜しむ生徒たちを置いて、一足早く校舎へ戻った。



講堂からそれなりに離れた校舎に向かうには、冷えきった外の空気を感じ無ければならない。


身を切るような風が全身を貫き、それこそ白百合女学園の生徒だったとは思えないような悲痛な表情で走った。



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