恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
驚いた顔をして、大きな声であたしの名前を呼んだ芽依に、苦笑いを向ける。
「だって、三吉くんには莉子のことは言わない約束だから。 そのためにも、気持ちは伝えないことにする」
だって伝えちゃったら。
あたしのその気持ちは莉子の代弁みたいになってしまいそうで。
深く考えるとむずかしくなって、こんがらがっちゃうから。
でもようやく、ちゃんと決められた。
自分ひとりで決断しても、守れそうもなかったから、やっぱりふたりに伝えてよかった。
莉子の代わりにふたりがそう言ってくれたから、好きでいることはやめない。
でもやっぱり、伝えることはしない。
莉子のことを言わないし言えないからこそ、伝えない。