レイアップ

チェストパス

ぎゅうぎゅうに密集したビルや建物の中心を、無理やりくり貫いてつくったような公園。

光は遮られ、一日中薄暗く、滑り台やブランコなど公園には定番の遊具もない。

あるのは汚い公衆トイレ、所々破れたフェンスに囲まれるハーフコートとバスケットリング。


なぜ、こんな所に存在してるのかもわからないこの名もなき公園が、おれの居場所だった。

ここに来るのは、バスケを辞めて以来、実に一年ぶり。


理由は特になかった。
左腕のGショックは11時半を少し過ぎたところ。
まだ、ミウと約束した時間には少し余裕があっただけ。

ただそれだけだった。


ただそれだけなのに・・・。



何故、今日なんだろう。


何故、今。


何故、このタイミングで。


会いたくない奴に限って、意図せぬところでバッタリ。
なんて経験、キミにも一つや二つあるだろ?


あれは多分、サディストな神様のイタズラだとおれは思う。


神様も退屈な夏休みで暇してるんだ。


あくまでおれの勝手な想像だけど、偶然の一言でかたずけるには、あまりにも偶然すぎはしないだろうか。

「よう。久しぶりだな」


その声は、夢で聞いたあの声とまったく一緒だった
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