不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「仲里のことは、この仕事をする前から俺は知ってる。……同じ大学の同じ学部だった」

 そこまで言うと、風見さんは息を細くフーっと吐き出して会話に間を取った。

 いくら鈍感な私でも、この先風見さんが言うセリフはわかってしまう。
 きっと、美里の女の勘が当たっているのだ。
 私は意を決して、風見さんをじっと見据えた。

「当時……付き合っていたんですか? 仲里さんと」

 言いにくそうにする風見さんを助けるように、私がその言葉を代わりに口にすると、風見さんがかなり驚いたとばかりに目を見開いた。

「お、お前……なんで知ってるんだ……」

「知ってたというか…“女の勘”ってやつです」

 もちろんそれは、私の、ではなく、美里の“女の勘”だけれど。
 ほかに説明のしようもなくて、思わずそう言ってしまった。

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