不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「お前の言うとおり、大学時代に付き合ってた。だけどこの仕事で一緒になったのは偶然だ。向こうも俺も、互いの就職先は知らなかったからな」

 そんなこともあるのか……と、ぼんやりと思った。
 そんな偶然が、世の中に起こりえるのだな、と。

「仲里さんはこの仕事で風見さんが一緒だから心強いんですよ」

「……?」

「大きな仕事ですし……少しでも知っている人がいたほうが心強いじゃないですか。……だから、今日の接待にも風見さんに来てほしいと、田中さんに要望したのだと思います」

 私は無意識のうちに両手に握りこぶしを作ってしまっていた。
 それに先に気づいた風見さんが、私の握りこぶしをおもむろに自身の両手で上から覆うように優しく重ねた。

 私たちは両手を握り、自然と向かい合う形になる。


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