不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 俺と田中が時間よりも早く来たのもあって、当然のように俺たちが一番乗りだった。
 だがそのあとすぐに、うちの営業部長と先方の人間が到着して、お決まりの挨拶を交わす。

 こんな無愛想な俺だが、稀にこういった酒の席に呼ばれることがある。
 だから接待は初めてではない。

 ……ま、もちろん得意なわけがないが。

 部長たちが座敷の上座付近に座り、俺は一番下座の席に大人しく腰を降ろした。
 それを見てか、目の前にはグレーのスーツに身を包んだ仲里 栞が座る。

 宴が始まるなり、不意に目が合った栞ににこりと柔らかい笑顔を向けられた。
 だが俺はそれには反応を示さず、目の前に運ばれてきた料理に視線を落として箸をつけた。

 ……いったい、それはどういう笑みなのか。
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