不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「いえ。いえいえいえ! 仲が良いなんてとんでもない! ただデスクが隣だっていうだけですから」

 絶対に変な誤解を生まないように、ここは完璧に全否定しておかなければならない。
 だいたい、笹岡さんがお弁当を断る口実に私を使うからこんなややこしいことになったのだ。

「本当に、全然仲良くなんてないですよ!」

 さすがにここまで言うと逆に怪しいだろうか。
 そんなことが頭を過ぎると、次第に作り笑顔も苦笑いに変わっていく。

「緒川さんにお願いがあるんです」

 可憐な女の子のそんな言葉を聞けば、今の季節に似合わない嫌な汗まで噴き出しそうだ。

「今日も笹岡さんにお弁当を作ってきたんですが……どうも逃げられそうな気がしていて……」

< 84 / 299 >

この作品をシェア

pagetop