不機嫌な彼のカミナリ注意報２

「私、お昼休みになったら即効でマーケティング部まで行きますから！」

「あ、皆口さん！」

　困り顔で思案する私を完全に無視し、皆口さんはペコリと頭を下げると言い逃げをして営業部へと戻って行った。

　この状況は非常にまずい。
　エレベーターに乗りながらも、先ほどの皆口さんの顔が脳裏に浮かんでくる。

　まともに話したこともない私に、必死で懇願していた彼女は、純粋に恋をしているだけなのだ。
　ただ、一生懸命なだけ。

　そんな可憐な皆口さんを振り回すなんて、笹岡さんが完全に悪い。
　付き合えないなら付き合えないと、最初からきちんと伝えないからこんなことになるのだ。