雨が降るから。
幼馴染と生徒会。


「琉ちゃん琉ちゃん!!ねぇ、ちゃんとあたしの話聞いてた〜?」


「え、うん」


「この前の入学式で新入生代表もやらされたじゃん?なのにもう、生徒会に入れ!!とか言われてさぁ〜」




「まぁ、先生から言われたら断れないし、…。ほんっとに、高校って中学の延長線みたいなもんなんだね」






ずっとずっと、憧れてた高校生。中学では、それなりに勉強してそれなりに努力して入った北高校は彼女の言う通りなにも面白いことなど起きていない。


…今思うと、どうして勉強したんだろうって思うくらいに。


高校ってそんなに努力して入る場所じゃない…俺、如月 琉太郎(キサラギリュウタロウ)は高校一年生の5月のはじめ、そんなことを思いながら幼馴染の橘 優花(タチバナユウカ)と一緒に下校していた。



「でもさ、優花。だったら俺と一緒の学校じゃなくてもっと頭のいいところ行けばよかったじゃん…。推薦とかも狙えたんでしょ?」


「ん〜まぁそうなんだけどさぁ…。って!別に、琉ちゃんがいるから北高にしたんじゃないし!!あたしは安全なここにしといたんです〜!」



「そーだっけ…」



…それにしても今日はやけに暑い。



まだ着慣れないブレザーが、太陽に照らされて身体の体温を上昇させる。


もう、カーディガンなんていらないくらいの暖かさ。

キラキラと光る太陽は、まるで「青春」なんて語れそうなもんだ。



漫画みたいな青春ができるとは思ってない。
憧れなんて、とっくの昔に捨てている。





「で!!琉ちゃん、生徒会入らない?」



「なんで、俺が…」
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