好きになんてなるわけねーだろ!!!


『……どうしたものかなぁ。』


私が頭を抱えていると、廊下から長い手が伸ばされる。

頭に触れられたその手を振り払いたい衝動に駆られるが黙って顔を向ける。


「やあ!楠木。今日も可愛いね!!」

『…はは、どうも。』


廊下から顔を覗かせて微笑むのは、永沢凌さん。

1つ上の先輩で、つい先日告白を受けた。

はっきりとお断りしたはずなんだけど、なぜかあれ以来毎日のようにやってくる。


あぁ、廊下側一番後ろっていうこの席、ここまで席替えしたいって思ったの初めてだわ。


はっきり言って、私が永沢さんと付き合う可能性は限りなく0に近い。

永沢さんはそうは思ってないみたいだけど。


自信家が過ぎる。嫌いなタイプだ。


「どーしたの?最近、元気ないじゃん?」

『あぁ、まぁ。いろいろありまして。』

「なに?話してごらん?」

『結構です。1人で考えたいんで。』


遠回しに帰れと言っているんだけど。

通じないもんだね。

< 131 / 277 >

この作品をシェア

pagetop