好きになんてなるわけねーだろ!!!


ーーあいつ…、次忘れたとき覚えとけよ!?


くしゃっと、教科書を握りつぶすようにして教室を出たとき、葵が呆れたように笑っているのを見つけた。

そのとき、私は思い出す。


ーあ…喧嘩してたんだっけ。


「よかったじゃん !仲直りできてさっ!」

『…これ、良かったって言えるわけ?』


そんなことを口にしつつも、なんだかすっきりしたような感覚を私も感じていた。


そうだよ。喧嘩なんて、いつものことだし。

はっきりした仲直りがなくたって、私たちは一緒にいれるんだ。


「ふふ、杏奈ったら、嬉しそうな顔しちゃって。」


葵が、そう呟いたことなんて、知らないまま、私は教室へと駆け出す。


『葵!遅れちゃうよっ!!』

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