好きになんてなるわけねーだろ!!!


『ほら、そんなこと言ったら、湯浅さんに失礼でしょ。
私は光輝なんて好きじゃないから、大丈夫だよ。』


葵は納得いかない様子ではあったけど、そのまま席についた。


私は、友達と楽しそうに話す湯浅さんを盗み見た。

幸せそうな笑顔に、また少しむかついて、固く拳を握りしめる。


そんなところを、葵に見られているとは知らずに。



休み時間、いつものように葵と話す私。

そんな私に突然拳骨が落とされる。


『…いっっっ!!もっと優しく登場してよ!』

「悪い悪い!世界史の資料集、置いてある?」


光輝の、何度目かしれない忘れ物だ。


『…えー、あるかもだけど、ロッカーに。』

「よし、今すぐ探せ!」

『えー、めんどくさーい。』

「良いから探せっ!」


頭を拳骨でグリグリされる。


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