好きになんてなるわけねーだろ!!!
「つかまれ、一気に走るぞ!」
にやっと笑った光輝の手を、私は迷うことなく掴んだ。
ぐんっと上がるスピード。
流れる景色。
体にかかる風。
いつも光輝はこんな風に走ってるんだ。
校内に入ってからも、廊下を全力ダッシュして、本当にギリギリセーフで間に合った私。
隣の教室に飛び込んでいった光輝も間に合っただろう。
『……はぁ、疲れた。』
席に座って呟くと、クラスメートと話していた葵が席についた。
「おはよ、杏奈!仲のよろしい登校で。」
『…え、なにが?』
先生の話が始まっても葵のおしゃべりは止まらない。