好きになんてなるわけねーだろ!!!


私は一度大きく息を吸って吐き出した。

落ち着け、振動。収まってよ。


「てか、傘だんだん低くなってんだけど。」

『え!?あっ、ごめん。』


私は慌てて傘を上げた。

光輝と身長差あるんだもん。


「あ、俺が持てばいいんじゃん。」


その瞬間、光輝の手が、傘を持っている私の手に重なる。


『………っ…!!』


ほとんど、無意識だった。

ほんの少し手が触れた瞬間、私は傘から手を離してしまったんだ。


傘が、一瞬宙に浮いて、すぐに重力によって地面に引き付けられる。


私と光輝は、一瞬にして雨に濡れることになった。

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