ツンデレ専務と恋人協定
「お前があいつと一緒に会社を出ていくから付けてきた」


ずっと付けられてたなんて全く気づかなかった。

何か悪いことをしたわけじゃないのに、前に常務に送ってもらった時に怒れたせいか、後ろめたさを感じる。


「お前が俺と付き合えねぇって言ったのは、あいつの存在があるからか?」

「えっ?」

「俺が簡単に引き下がったのはお前を諦めたからじゃねぇ。あいつに取られるくらいなら無理やり…」


専務はそう言って、私をきつく抱き締めてきた。

だけど、抱き締めたその手は震えている。


「専務…苦しいです」


私は反抗はせず、専務の温もりを感じながらそう呟いただけだった。

そして、抱き締められながら、やっぱり専務が好きだと思った。

口に出して本音を叫んでしまいたい。


だけど、会長との約束を忘れたらいけない。

私は専務の腕を掴み、ゆっくりと自分の体から専務を離した。


「常務には偶然会って送って頂いただけです。借金が返せるまでは誰ともお付き合いするつもりもないです」


これは私の本心だった。

専務とじゃなくても、他の誰かと出会ったとしても借金を返済するまでは付き合ったりしない。



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