夢幻泡影
監禁
ポタッ



ポタッ



屋敷の一室


上から垂れ下がる縄で両手首を縛られた少女


先ほどまで、屋敷に住む浪士達に強姦され、暴行を受けていた


意識を失った後で、水をかけられた


季節は冬


縛られている為、顔にかかる濡れた髪を掻き上げることも出来ない


痛む体を…… 凍える体を……


擦ることもできない


ただ、朦朧とする意識の中で自分の髪から落ちる雫を見る



春に江戸から京へ売られ



この生活を半年続けている



遊廓に売られたほうがましだった



食事もろくに与えられず



少女の思考は死ぬこと以外考えていない



何をされても、もう抵抗する気力もない


涙を流すこともなく



痛みに声を上げることもなくなっていた




少女の名は〝 瑛 (テル) 〟










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