夢幻泡影
疑惑
間者の動きもないまま

元号が元治と改められた

その日

瑛は買い物の途中で聞き覚えのある声につられ

藤堂と沖田からはぐれた




二人は瑛が、屯所に戻っているかもと考え


「バカヤロウ!!あれほど瑛から離れるなって言っただろうが!!」


しょぼくれる二人に


「さっさと探してこい!!」


ご立腹……の土方





「平助、ここらではぐれたんだな?」

永倉と原田も合流する

「拐かされたか…」

「どうしょう」


不安で声が小さくなる

いつも真っ先に行動起こす藤堂が

動揺で動けない


「いませんね!!これでは、探しようがありません!」


沖田は辺りを走ってきた


四人で相談していると


ポツ ポツ ポツ ザアーーー


雨が降り始めた



「クソッ!!分かれて捜すぞ!!」


四人は散り散りに走って廻る







瑛を見つけたのは、原田だった


「よかった…」


原田は瑛を抱きしめた

瑛の顔をのぞき込むと、無表情

出会った頃の瑛を思い出させた


「瑛?もう、大丈夫だからな?」


優しくかけられた声は瑛に届かない


「おい!瑛!!しっかりしろ!!」





瑛が気を失ったから






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