夢幻泡影
数刻後

瑛は、新選組の屋根裏に潜んでいた

『古高は計画をはいたようね』

屯所内の慌ただしさに、緊張する


そして、目的の部屋に降りる


シュッ


「よお?元気だったか?」

さほど驚くこともなく言われた

「はい!簪、ありがとうございます!
土方さん!」

「お千の形見だ!大事に持っとけ!」

「はい!時間があまりないので、手短に
圭尚は、怪しい素振り、ありますか?」

「いや…なんでだ?」

「土方さんが見て大丈夫なら、いいです
あたしを横取りしようとした人物がいるので捜していただけです」

「吉田は、良い奴か?」

「ええ、大事にしてもらってます!」

「そうか……よかったな!」

「土方さん、会合は今夜!
場所はまだわかりませんが…
あたしと吉田も参加します!
吉田から、絶対に計画を阻止してもらいたいと伝言です!
吉田は、長州の人だから、あたしも敵ですね…」

「そうだな……」

「一応……圭尚に気をつけて下さい」

「あぁ。ありがとよ!」

「土方さん…今夜でお別れですね…」

「瑛…こいよ」


土方が膝をポンと叩く

少し戸惑いながら、瑛が土方の近くへ

ぐいっと引っ張られて土方の腕に収まる


「すまねぇ
俺は、守ってやるって言ったのに…」



「土方さんが守るべきは、新選組でしょ
助けてくれて、ありがとう
土方さん…あたしね…」


〝土方さんが好き〟


と、言えなかった


「もう、行かなくちゃ……」


「行くなって言ったら、どうする?」


「え?」


「斬られるかもしれないんだぞ?」


「新選組に斬られるなら…幸せよ」



土方の顔を見ながら笑顔で言った

強引に後ろ頭を手で引き寄せられ

唇を塞がれる


突然のことに瑛があたふたするが

放すどころか土方の口づけは、深くなる


「ふぅん!!ひぃ か…さん…!!」


「瑛…好きだ!吉田のところに戻るな!」








唇を離して瑛の耳元で呟いた


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