骨による骨のための狂想曲
あたしはあれから一度も箱を出ていない。彼がここから出してくれないのだ。
でもあたしは、ちゃんと気付いている。彼の傍には、別の女がいる。あたしより若くて可愛い、人間の女。
そう——浮気っていうヤツだ。
ユルサナイ!
あたしを箱に閉じ込めて!
あたしは、頭蓋骨だけでダンボール箱から飛び出した。そろそろと近寄って、ベッドで眠る女の喉笛に噛みついた。
女は「きゃああ!」と絶叫した。
無理もない。暗闇に骸骨が浮かんでいるのだ。それも、カパカパと口を開けたり閉じたりして、迫ってくるのだ。怖いにきまっている。
「ごめんね、あなたに罪はないけど……死んでもらうわ!」
あたしはそのまま彼女の喉笛を食い千切ってやった。勢いよく飛び散る血飛沫に、彼が仰天する。
「おっ、おまえっ……」
「どう? 惚れた女の血飛沫を浴びた気分は?」
よほど衝撃的だったのか、ぽかんと口をあけたまま答えられないでいる彼の喉笛にも食いついて、あたしは久しぶりに肉体を手に入れた。
そして当然彼には、お仕置きが必要だ。
「ふふん……」
あたしの笑みに、骸骨が震えた。