【完】千鳥の舞う花火。
まるで五年前に戻ったような気分だ。
「っと、母さん起こすんだっけ。」
ハッと我に返った俺は、助手席で眠る母さんに声をかける。
「母さん、起きろ。着いたぞ。」
「んー……もうお腹いっぱい……。」
……ダメだ、こりゃ。
母さんを起こすのは早々に諦めて、溜息をつく。
……その時、向かい側の家の前に、見知った顔の人がいることに気づいた。
あの人は……!!
「真耶さん!!」
俺が名前を呼べば、彼女は驚いたように振り返った。
間違いない、五年前と同じ顔の真耶さんだ。
五年経っても全く老けていない彼女に、俺も少しびっくりさせられる。