【完】千鳥の舞う花火。
――キキイッ
車の振動がなくなった気がして、俺は目を開いた。
どうやら、眠っていたようだ。
「おう、昴。起きたか。着いたぞ。」
横になっていた体を起こせば、窓の向こうの懐かしい風景が見える。
「ここ……。」
「さすがに昴も覚えてるか。前に住んでいた家だよ、懐かしいだろ。」
「母さんを起こしてやってくれ。」と、先に車を出て荷物を運び始めた父さん。
俺も後に続いて車を出て、目の前の家を見上げた。
二階建ての一軒家。
結構大きい方、だと思う。
この辺りも、昔と変わっているように見えなくはないけど、あまり変わっていないのが本音。