透明な海~恋と夕焼けと~







あたしを見て笑った季の笑顔から、

寂しさも、

哀しさも、

切なさも、

全部、消えていた――――――……。





「あたし、季のために生きられている?」

「うん。
美音は僕の生きる希望だよ」

「――――季ッ!!」




あたしは抱きついた。

季は優しく、あたしを包み込んでくれた。





「あたし、ずっと季の傍にいたい」

「僕も」

「ずっと季の傍で泣いていたい」

「うん」

「そして思い切り、季と笑いたい!」

「泣いた分だけ、笑顔になれるんだもんね」

「幸せにもなれるよ。
季といるだけで、あたしは何もいらないし、幸せだって思えるんだよ」





あたしたちは、キスを交わした。

お互い初めて同士の、慣れていないキス。






何があっても、あたしは季といたい。





季と泣いて、

季と笑って、






季と幸せになりたい。







【END】









< 90 / 92 >

この作品をシェア

pagetop