これは絶対に恋じゃない
駅から徒歩3分ほどの場所にあるコンビニの駐車場に車を止め、
「はい、着いたよ。三枝ちゃん、今度はさ、もっとゆっくり時間とって加恵とかほかの奴も一緒にご飯でも行こう?」
そう言って、御池くんは、ニコリと微笑んだ。
「それいい!徹たまにはいいこと言うじゃん!」
加恵も乗り気で、楽しそうに笑みを浮かべている。
「…うん。その時は連絡ちょうだいね…」
優しいなぁ。2人とも…本当に。
急に連絡を切ったのは、私の勝手なわがまま。
自分が傷つくのが怖くて…悠希と関係のある人たちを遠ざけた。
加恵にだって、本当は、無視されたって仕方ないくらい嫌な思いをさせているはずなのに。
…なのに、こんなにも優しい。
思わず、ギュッと拳を握る。そうしないとなんだか涙がこぼれてしまいそうだった。
「…送ってくれてありがとう!!加恵、また、連絡するね。御池くんも…運転ありがとう」
車を降りて、私は二人に向かって頭を下げた。
「いいって、いいって。通り道だったしさ。じゃあ、またね!凛!」
「三枝ちゃーん、またね!」
助手席の窓から、顔を出し、加恵が私に向かって手をふる。
その姿を見送り、2人の乗った車が遠ざかって行くのを確認した私は駅に向かって歩き出した。