砂~限りある時間のなかで~
「治らないって言われて。あと余命3ヶ月しかないの。」


「うん…。」

私は下を向いてるから、岡本くんの顔が見えない。

どんな表情で聞いているか、こわかった。


「このこと、家族とナナセしか知らない。だから、誰にも言わないでほしいの。」


「わかった。」



シーン…。



やっぱり、そうなるよね。
言わなきゃよかった。


「だから、俺と付き合いたくないって思うの?」

「え?」

その発言に顔を上げると、真剣な顔で私を見つめていた。


「自分は死ぬからって、決めつけんなよ。お前のこと、支えたい。余命が3ヶ月なら、してあげられること、たくさんある。アイツには出来ないことだって、してあげられるよ。」

「岡本くん…。」



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