レンジ
洞窟の中は不思議な光景が広がっていた。
俺が初めてドラナイと出会った時の洞窟は誰もいない暗い場所をモンスターに怯えながら進むものだった。

それがどうだろう。たくさんのキャラクターで溢れている。
オンラインだからこそか。良し悪しだな。
その気持ちを代弁するようにたけるが言った。

「なんだこの賑やかな洞窟は!俺のイメージとかけ離れてる!」

悔しいが同じ意見だと認めざるを得ない。

「また文句言ってー!いい?オンラインなんだよ!助け合う事が出来て素敵じゃない?」

助け合う?パーティを組む以外に助ける方法があるというのだろうか。

「ちょっとセツちゃん来て!あの人にキュアを唱えてみて?」

キュアとは回復呪文だ。
セツが呪文を唱えると違うパーティのキャラクターが回復した。
なるほど、こういう事か。パーティを組んでいるだけでなく、そこに映し出される全てのキャラクターと繋がっているのである。

「私の回復役に立ちましたね!」

セツも喜んでいるようだ。俺はほんのちょっと、この怖くない洞窟のことが好きになった。

「あ、そうだ!レンジさっき何の話ししてたの?フレンドでしょ?」

俺は事情を話す。

「なるほどー!負けたくないねっ!ボスまで一気に行っちゃおう!」

道中の敵を手際よくさばきつつ、俺たちはボスがいる扉の前まで来た。
キャスルはもう倒して先に進んだのだろうか、しかし、結果を聞くとモチベーションが下がると思い、そのまま進む事にした。

初めての戦闘、初めてのボス。なんて盛り沢山な1日だ。
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