堕ちるのに一秒もかからない


そう言われた時は幻聴かと思った。



優しさと緊張を含んだ声が私の名前を呼んだ。


なんて言っていいのかわからない。



『あ!ライブとか行くの苦手かな?ごめんね?無理とかじゃないか『行きたいです!!!』え?』



『い、行ってもいいですか』



うじうじして、チャンスを逃すのはいやだ。




少し大きめな声で返事をすれば、



『じゃあまた来週まってます。』


ふわっと笑う。



『あ、はい。545円です。じゃぁ、また来週お願い…します…。』



じゃあね!そう言って彼は出ていった。



グイッーー!!!



『ちょっと?あおいちゃん!明後日月曜日、私のとこ集合ね?』



ニコッ不敵に笑った綾花に逆らえない汗


『は、はい。じゃあ、楽しんできてね?』



『はーいよ!あおいも頑張ってね!じゃあ!』



ありがとうございましたーー。




………



………………


…………………………




ハルさん。



あおいちゃん。




むずかゆくてもどかしい。



名前を呼んでもらっただけで嬉しくなる。




ひとつわかった。




私、絶対にハルさんのこと好きなんだ…。





その後の仕事はすごくはかどった。



来週の土曜日が遠くて、早くこいと思う。



でも、緊張しちゃうからもっと遅くって思う。








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